(番外編)国内旅行業務取扱管理者試験 受験記

観光関連の仕事をしていたときに、旅行業の資格があるなーというのは何となく知っていましたが、本気で取り組むなら資格取って損はないだろうと考えるようになりました。ただ、それが一体どんなものなのかまるで検討がつかず、周りで一人だけ資格を持っている方がいたんですが、猛勉強の末ようやく取ったような噂だったもんで尻込みしていました。

そして申し込み締め切りの迫った7月のある日、とある地域づくりの集まりをのぞいてみたんですが、大船渡に観光客を呼びこむ話を真剣にしている方々の姿に打たれ、自分も何かできないかなーと考えた末に受験を決意しました。

そうと決まればまずは申し込み。締め切り目前でしたが、なけなしの小遣いから受験手数料5,800円也を振り込みました。ここまでくれば後戻りもできないので、自然とやる気も出てくるというものです。

あとは勉強あるのみですが、必要最小限の出費に抑えるため、参考書1冊で対応すべく書店へ。前から目をつけていた、「一発合格!国内旅行業務取扱管理者試験テキスト&問題集」( 児島寛子 著1,575円)を迷わず購入しました。他の参考書に比べ、薄くて内容もシンプルそうだった上、「一発合格」まで書いてれば必要な事項は網羅してるだろうという推測で。とはいえ、家でパラパラ飛ばし読みしていると、「こんなに覚えられるもんか!?」と不安な気持ちにさせられます。チェックシートがついてたんですが、やけに数字が真っ赤っかなのを見ると、これ全部覚えろということなんでしょう。
ちなみに、後から試しにユー○ャンはじめ通信講座の資料請求をしてみましたが、「そんな金あったら板でも買うわ」的な金額でした。

普段の生活ペースを崩さないで勉強を進めるつもりでしたがあまり器用でないため続けられず、結局朝のジョギングに使っていた約2時間を丸々勉強に費やすことにしました。2か月ぐらいなら生活を変えてもまぁ我慢できるかと。

受験科目は業法・約款・旅行実務とあるのですが、業法・約款を参考書通りに読み進め、一通り覚えたら旅行実務に取り組む計画にしました。1日10ページ以上をノルマにして、2週間弱で読破。すっかりマスターした気になっていたもんで、こうなると力試しがしたくなるというもの。そこで、ネットで公開されている過去問に挑んでみたわけですが・・

H20過去問:業法60点、約款80点
H19過去問:業法88点、約款88点

例年各科目それぞれ6割取れれば合格という話なんですが、ちょっと危うい感じです。

紛らわしい項目や数字など、うろ覚えの部分が目立ったので、一括して覚えられるようにしたいと思い考案したのが、テキストに出てくる法令や約款の数字をすべて拾って一覧表にするというもの。数字は●印で隠して端に書くことで問題集代わりに使えました。

残るは旅行実務ですが、JRの運賃・料金計算と国内地理がミソのようです。JRの方は「AはBである。ただしCを除くDのときはEとする」的な、例外と場合分けの嵐という印象でした。大体、北海道と本州・四国・九州で運賃料金も利用条件もバラバラって一体・・。ここも大体のルールを覚えて、数字は例によって一覧表に。料金関係はJR以外にも貸切バスやフェリー・飛行機・旅館・ホテルとあるので、記憶を整理するのにも役立ちました。

国内地理は、時間が空いているときに国立公園や国内の世界遺産をネットなどで調べながらやっていました。そして、参考書に国内地理が載っている巻末まで読み進めた頃に本格的に取りかかりましたが、各都道府県の観光資源を覚えるのに手間取りました。温泉地なんて、湯花やら湯原やら「湯なんとか」だけでどんだけあるんだと。一日一つにしたって47日間かかる計算。とてもそんなことはやってられないので、これも一覧表にしてゴロ合わせにする作戦をとりました。

たとえば、『三国で事故ってアバラも外もエーンヘンヘン』というと、自分の中では福井県の三方五湖・九頭竜峡・芦原温泉・蘇洞門・永平寺が出てくる仕組みなのです(笑)

分からない観光地はネットで調べて(wiki大活躍)対応してましたが、モニタ上の地図では位置関係が把握しにくいのと、参考書に「地図も買ったほうが良い」とアドバイスがあったので、 帝国書院の「旅に出たくなる地図 日本」(2,520円)を購入。役立つ情報満載で、楽しみながら勉強できました。

こんな感じで、7月初旬から本格的に勉強し始め、お盆になる頃には参考書の内容も一通り覚えた自信がつきました。あとは演習あるのみということで、全国旅行業協会のサイトに載っていたH14〜H20の過去問に次々チャレンジ。本番に合わせて制限時間も2時間としました。

H14過去問:業法92点、約款88点、実務82点
H15過去問:業法96点、約款96点、実務88点
H16過去問:業法84点、約款88点、実務87点
H17過去問:業法96点、約款96点、実務94点
H18過去問:業法88点、約款96点、実務87点
H19過去問:業法100点、約款100点、実務98点
H20過去問:業法100点、約款92点、実務94点

勉強の甲斐あって、合格は目標でなく前提に変わり、何点取れるかが目標になってきました。

しかし、お盆過ぎから試験当日の9月13日まで、改めて覚えるようなこともなくなってしまったので、記憶を劣化させないよう参考書や一覧表を見返す日々が続き、なかなかしんどいものがありました。もしこれから受ける人にアドバイスするなら、勉強の期間は1か月ぐらいがちょうど良いと言えるかもしれません。

そしてようやく迎えた試験当日。もうおんなじ事を繰り返さなくていいという開放感からすっかりご機嫌で、日帰り旅行のつもりで仙台へ。会場の仙台育英学園に向かう電車内で参考書を読む人がいたりして、なんだか嬉しくなりました。

校内は受験者で人だかりができていました。東北会場は仙台だけということもあり、例年1,000人前後が受験するようです。会場入りする受験者の列に並び、割り当てられた教室に着いてみると、まだ数名しか来ていない様子。のんびりしながら受験時間の午後1時30分を待ちました。

15分前くらいから説明が始まりましたが、試験に必要な説明のほかに、試験官の方から一言あいさつがあったのが印象的でした。「旅行を取り扱うこの業界は、夢のある業界です。受験する皆さん全員が合格できるよう検討を祈ります」。ほかの会場ではこんなことしてないんじゃないかと思いますが、自分の仕事に誇りを持っているんだろうなぁと感激した次第。

さて、定刻通りに試験開始。概ね想定内と言いたいところですが、結構悩まされる問題もありました。要は、参考書は過去問をベースにできているので、参考書をマスターすれば過去問で高得点が取れるのは当たり前なんだなー・・なんてことを、試験中にボンヤリ考えてました。

問題用紙は持ち帰って良いことになっているので、転記ミスだけは絶対にしないよう注意しながら、後でネット上に公開される解答速報で答え合わせできるようにマークしていきます。2回見直しして、あとは難しかった問題を眺めながら時間を待ちます。

3時半に試験終了。帰りの電車が混む事が予想されたので、足早に駅へ向かいました。校門では『資格の大原』が解答速報のURLを載せてチラシ配りをしていたので、ありがたく受領。

家に到着する頃には速報が出ていたので、早速答え合わせ。自己採点の結果は、

業法100点、約款92点、実務94点

でした。間違いはないと思いますが、多少何かあったところで合格は揺るがないだろうということで、まずは一安心です。あとは11月5日の合格発表と通知(証書)を待つばかりです。

7月に思い立って2か月間の勉強を経てここまでこぎつけたわけですが、少々所感をば。

・難しい試験ではないこと
暗記用にまとめたりはしましたが、参考書と地図があれば十分対応できると思います。出題範囲が広いため国内地理が難しいという評判なのですが、参考書に載っている観光地(赤字)を覚える程度で全く問題ありませんでした。合格率が例年30%程度というのを高いと見るか低いと見るかは人それぞれでしょうが、大学受験なんかと違って定員がないため、合格点以上取れば何人でも合格ということになるのですが、受験者を落とすための小細工が出題された問題に見られないので、ちゃんと準備してこなかった人をふるいにかけ、準備してきた人を見抜くための試験だと言えます。

・誰も「6割で合格」を保証してくれないこと
後半ダレてきていたので、モチベーション維持のためにネットで掲示板なんかを見ていました。その中で試験後に目立っていたのが、「60点ギリギリなんだけど、今年のボーダーは?」といった書き込み。例年6割取ればいいという情報に流されて、6割しか取れない勉強をしてきたんだろうなどと勘ぐってしまいます。そもそも「60点とればいいや」と「100点取ってやる」では当然取り組み方が変わってくると思います。自力で何ともしようがないところで悩むことがないように、自力できることに力を尽くすのが大事なのではないでしょうか。

・案ずるより生むが易し
得体が知れないために情報を集めていくと、やがて情報に振り回されるようになると思います。ここに書いていることも含め、あまり人の言うことに左右されずに、まずは始めてみることではないかと。はじめて参考書を開いて尻込みしたのも事実なら、大して難しいことじゃないと思えるようになったのも事実でしたので。



当初の目的から外れてくるんですが、せっかくの機会なので来年は「総合旅行業務取扱管理者」を受験しようと思います。免除科目が出てくることもあり、今回ほど勉強しなくても済みそうな目算です。最初からこっちを受験すればよかったのにというのは結果論で、自分にはこれで合っていたと思います。だって、ラスボスを倒すためにはレベルを目一杯上げてからいかないと気がすまない慎重派なので・・。


お世話になりました(´▽`)

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