思い起こせば白馬でスキー修行などと言っていた頃、一冊の本と出会ったのがきっかけでした。
それが「ゆる」であり、「高岡英夫」だったのですが、心のどこかで疑いながらもこれが本当なら素晴らしいと思い、いつか取り組んでみようと決めました。
そしてオフシーズンにはビデオや書籍、さらには統一棒なるウン千円の棒きれ用具を買い揃え、日々周囲を巻き込みながら「Vゾーン♪」なんてことをやっていました。
その成果のほどはというと・・「固くならずに滑ると調子いいみたい」てなことが実感できたくらいで、途中で投げ出したというかウヤムヤになってしまっていたのでした。
あれから数年。選手としてひと花咲かせようと、一時期さかんにトレーニングをつんだりしたものの、さっぱり芽が出ないままオフトレはお太れと化し、夏でもないのに浮き輪を抱えるありさまとなってしまっていました。
このままではいけない!シーズンインまでに何か取り組まなくては!(しかも極力楽に・・)
そんな最中見つけたのが、『ゆるスキー革命』なるビデオ。はじめは「なんじゃ!?」と思いましたが、かつて取り組んだ『ゆる』と大好きなスキーとのコラボレーションはやはり魅力的。スキーを始めて20日ほどの高岡センセイに元・全日本デモの金子裕之さんが追い付けなかったという逸話まであるほどで、迷わず注文。
数日後、テリー伊藤のような姿の高岡センセイがプリントされたDVDが届きました。何だか怪しげな滑り格好ですが、滑走日数20日にはとても見えません。理論は置いておいても、この人の運動能力は非常に高いんだろうなーと思わされます。
気になる中身は、まず準備運動から。もちろん「ゆる体操」を使い、高岡センセイ、金子氏、ゆる体操指導者nidoさんの3人が、全身をだらしないほどに揺らしながらゆるゆるトロトロふわふわなんてことをやってます。夏油で第1ゴンドラ降りてさぁ滑るかというときに集団でこんなことされてたら気味が悪いですが、周りの目も気にならないほど緩めという教えなのでしょう。違うか。
次は、滑りながら体をゆらしていきます(「ゆるをかける」という言い方をします)。金子氏とnidoさんの滑りを高岡センセイが解説しますが、金子氏の方がスキー技術が高い分、ゆるみの度合いが高いように見えます。センセイも滑りますが、テリー伊藤に見えて仕方ありません。
さらに、「軸タンブリング」というメソッドの解説と実践。軸タンブリングとは、軸となる体のパーツに対する点の意識をつなぎ、全体として体軸を意識するというもので、地球の中心から自分の頭を突き抜けて伸びる真っ直ぐな軸をイメージします。この意識を持って滑るというのですが、確かにスキーには軸の意識が大事なので、なるほどと思わされます。
次のステップは、脛骨や腓骨、肋骨で雪面からのプレッシャーを感じ取るというもの。確かに、雪面からの情報を足裏で感じろとは言いますが、骨で感じるとか脚以外の部分で感じるなんて意識は皆無でした。ワタシのバイブル「インナーテニス」では、体で感じ取ることの重要性を書いていて、何か通じるものがあるなーという気がします。
似たようなところで「骨でターンする」なんてことを言ってます。運動の動作に対して筋肉を意識することがありますが、さらにその意識を高めて骨を感じろという話です。高岡センセイの本には骨の意識がよく出てきます。
やろうと思ってすぐ実践できることでもないので、次第に難しさを覚えます。
「ゆる」をかけてターンのきっかけにするのは、以前自分でもチャレンジしたことがあるので比較的分かりやすい部分。このビデオが出た時代はカービングスキーがまだ出回っていませんが、それでも高岡センセイがカービングのターンを見せるのはすごいことだと思います。何度も書くようですが、『滑走日数20日』なんですから。
実践編では、リフトの上やスケーティングの際にゆるをかける練習方法を紹介。滑るときだけゆるむのではなく、絶え間なくゆるみ続けなければならないというワケで。
こうしたゆるスキーを実践していくことで、今までならスケーティングしなければ進まないほどだった緩斜面も、快適にクルージングできるようになるのだそうです。本当なら素晴らしい話ですな。
さらに、ゆるスキーを取り組むことで健康につながるほか、快適な心の状態が持て、高いパフォーマンスにもつながるといいことづくめ。「体をゆらしてゆるませる」ということだけでなく、身体意識・感覚を高める努力が必要なので、やれば一目瞭然で成果が出てくるような単純なものではないと思われます。このメソッドの基本は武道から来ているので、身体意識や感覚が出てくるあたりに奥深さを感じます。
そんな訳で'10シーズンはゆるスキーを取り入れてみます。誰か夏油のゴンドラ降り場で、一緒にゆる体操しませんか!?
テリー・・